マイケル・ジャクソン「スリラー」の歌詞で英語学習①Aメロ

マイケル・ジャクソン
記事内に広告が含まれています。

英語を学びたい!と思ったときに、コンテンツに興味がないと苦痛ですよね。

興味のあるコンテンツで学ぶことができたら楽しいし勉強になるし、一石二鳥です

そんなわけで、マイケル・ジャクソンの「スリラー」の歌詞を読み解きながら、英語を英語のまま理解できるように解説したいと思います!

スポンサーリンク

洋楽の歌詞を読むときのポイント3つ

まず、洋楽の歌詞を読むときのポイントをご紹介します!

「設定」をとらえる

洋楽の歌詞を読むうえで大事なのは、その歌の「設定」を理解することです。

最初にそれが分かっていないと、「You」って誰やねん、「He」って誰やねん、などとつかみどころが分からなくなってしまうからです。

例えば、よくある設定は以下のようなものです

  • 主人公である歌い手が、観客(聴き手)でない人にむけてYouで語りかけている
    (Rock With Youなど)主人公→仮想のYou
  • 歌手自身が、自分として観客(聴き手)に語っている
    (Heal The Worldなど)マイケル→聴き手
  • 主人公である歌い手が、観客(聴き手)に何かを語っている
    (ビリー・ジーンなど)主人公→聴き手

歌詞を見たときに、その歌がどのような設定なのかを理解できると、歌詞の世界がとらえやすくなります。

解釈はひとつじゃない

歌詞はそもそも芸術作品の詩ですので、解釈はひとつに定まりません。

ニューズ記事や経済レポートなどとは異なるのです。

日本語の歌でも、歌詞を読んだときに「ん?どういう意味?」というものはたくさんありますよね。

英語の歌詞も同じで、文法をあえて破綻させたり、普段使われない表現や単語の組み合わせを使うなど、ネイティブでも意味が分からないという歌詞は存在します。

ですので、和訳や解釈はたくさんあり、正解も間違いもないというこということを念頭に、自由に歌詞を味わいましょう。

韻を味わう

英語の歌は、韻が踏まれています。

歌詞の終わりの音をそろえるのです。

例えば、エド・シーランの「Shape of You」を見てみましょう。

I’m in love with the shape of you
We push and pull like a magnet do
Although my heart is falling too
I’m in love with your body
Last night you were in my room
And now my bedsheets smell like you
Every day discovering something brand new
I’m in love with your body

(Ed Sheeran “Shape of You”より抜粋)

このように、語末を「うー」となる単語でそろえることで韻を踏み、リズム感を出しています。

日本の歌でも韻を踏んでいるものがありますが、洋楽の場合は韻を踏むのが「マスト」と言っていいくらい大事です。

ですので、意味ではなく「音」を優先した歌詞も存在するため、意味があまりない音遊び的な歌詞もたくさん存在します。

いぬ
いぬ

だからこそ意外性のある歌詞が生まれて、楽しいんだよ

音を楽しむという観点も持っていると、洋楽の歌詞がより楽しめるのです。

「スリラー」の設定は?

まず、ざっくり「スリラー」の歌の設定をおさらいします。

「スリラー」は、歌い手(マイケル・ジャクソン)が”You”を口説く、「口説きソング」です。

しかし、Youに関しては解釈が2通りあります。

まず1つ目は、「スリラー」のミュージックビデオのように、歌い手のガールフレンド(もしくはデート相手)に向けて歌っている、というもの。

2つ目は、聴衆に向けて歌っているというもの。

いずれにせよ、歌い手が”You”にむけて語りかけるような歌詞ですので、聴衆は「え、私を口説いている?」と錯覚して、よりドキドキできるような仕掛けになっています。

マイケル(歌い手)が、こちらに向かって口説いている、という視点で歌詞を読み解いてみましょう。

スリラーの歌詞解説

それでは早速、「スリラー」の歌詞を見ていきましょう!

マイケル・ジャクソン「スリラー」の歌詞で英語学習:Aメロ

マイケル・ジャクソンのスリラーの歌詞のAメロ(サビの前まで)は以下のとおりです。

(Aメロ歌詞)
It's close to midnight
And something evil's lurking in the dark

Under the moonlight
You see a sight that almost stops your heart

You try to scream
But terror takes the sound before you make it

You start to freeze
As horror looks you right between the eyes
You're paralyzed

意味的な大きなくくりでわけると、4つに分かれます。

だいたい2行で1セットです。

韻も、塊ごとに同じ韻で作られていることがわかります。

midnight, moonlight:アイト

dark, heart:アー

scream, freeze:イー

eyes, paralyzed:アイズ

順番に見ていきます。

It’s close to midnight

まず、一行目。

It's close to midnight

いきなりitが来ています。

文頭にありますので、「それ」と前に言及があったものをさすものではありません。

ここのitは、「非人称動詞」の形式上の主語になるitで、漠然としたものをふわっと指します。

例えば、「雨が降っている」というとき、日本語の主語は「雨」ですが、英語は「雨」が主語になりません。

そこで、「天気」というふわっとしたものを形式上の主語itにして、”It is raining.”と表します。

時間も一緒で、「五時です」は、今のこのときというふわっというものを形式上の主語にして、”It’s five o’clock.”になります。

この用法の時には、itは日本語に訳しません。

「スリラー」冒頭のItは、時間を表しています。

いつなのかというと、

close to midnight
midnight:深夜、真夜中、夜の12時

close to~は、「~に近い」という意味になります。

closeは、距離的にも、時間的にも、感覚的にも、「近い」ものに使えます。

例えば、カーペンターズの曲で「Close To You」という歌がありますが、これは「あなたの近く」という意味になります。

また、クイズ番組で「惜しい」回答があったときにも、正解に「近い」と言う意味で

It was so close!
めっちゃ惜しかった!

などと使います。

また、親しい友達は距離が「近い」という意味で

close friend
親しい友人、親友

などと言えます。

歌詞では「close to midnight」なので、「深夜に近い」→「もうすぐ深夜」という意味になります。

一行目まとめ
  • Itは、天気や時間、気温など漠然としたものをさす形式主語のitで、ここでは時間を表す
  • close to~は、「~に近い」という意味
It's close to midnight
もうすぐ深夜だ

And something evil’s lurking in the dark

And something evil's lurking in the dark

二行目です。

文頭のAndは、接続詞です。

前の「もうすぐ深夜だよ」の文章をAndでつないで、次の文章とのつながりを表しています。

「だから」「それで」くらいの意味でいいでしょう。

この文の主語は「something evil」です。

somethingは「何か」という意味で、「something good(何かいいもの)」「somethig to drink(何か飲む物)」などと、後ろから修飾します。

ここでは、「なにかevilなもの」という意味になりますね。

ではevilはどのような意味かと言うと、「邪悪な」「不吉な」「悪魔的な」という意味の形容詞です。

つまり、この文の主語は「何か不吉なもの」「何か邪悪なもの」になります。

次に、この文章の動詞は「is lurking」ですね。

lurkという動詞の進行形です。

lurkは、「潜む」「待ち伏せする」と言う意味です。

Collins Dictionaryには

to move stealthily or be concealed, esp for evil purposes
こっそりと、もしくは隠れて動くこと。特に、悪い目的のときに使う。

と書いてあるように、単に「隠れる」というよりは、何かを企んで待ち伏せしているようなときに使われる単語です。

それの進行形ですので、「いきいきと」「ありありと」「いままさに」、lurkしている(潜んでいる)、というような臨場感が出ています。

どこに潜んでいるのかと言うと、「in the dark(暗闇)」です。

2行目もこれでわかりましたね!

マイケルが、聴き手を怖がらせようとしているんです!(きゃわいい)

二行目まとめ
  • something evil=何か邪悪なもの、何か不吉なもの
  • is lurking=(今まさに)潜んでいる、待ち伏せしている
And something evil's lurking in the dark
何か不吉なものが 暗闇に潜んでいるよ

Under the moonlight

三行目。

これはわかりますかね。

under=下
moonlight=月明り

つまり、月明りの下。

さっきは「in the dark」で何かが潜んでいる、という文脈でしたが、ここで「under the moonlight」と明るい場所をさしています。

何か見えそうですね。

次の行の枕詞みたいになっているので、次も見てみましょう。

You see a sight that almost stops your heart

長い文章なので、切って考えていきます。

You see / a sight / that almost stops / your heart

you see のseeは知覚動詞ですので、「look at」や「watch」と違って「目に入る」「見える」という受動的な意味合いです。

ですので、(嫌でも)「目にする」というようなニュアンスになります。

どんなものを「目にする」のかと言うと、a sightです。

sightは、「光景」「景色」となります。aがついているので、「ある光景、景色」です。

どんな景色かが、次のthat以下で説明されています。

almostは、「ほとんど」という意味ですが、「もう少しで~する」というニュアンスです。

何をするかというと、stopします。

「もう少しで止めちゃう」んです。

何を止めるかと言うと、「your heart=君の心臓」です。

びっくらこいて、「君の心臓をもう少しで止めちゃうような光景」を目にする、ということになります。

You see / a sight / that almost stops / your heart
あなたは目にする/ある光景を/もう少しで止めるような/あなたの心臓を

さて、このブロックの意味もわかりました。

  • seeは知覚動詞で、嫌でも「見える」「目に入る」
  • almost=少しで~する
Under the moonlight
月明りの下で
You see a sight that almost stops your heart
君は心臓が止まりかけるような光景を目にするんだ

またもやマイケル、怖がらせにかかってきてますね。

You try to scream

次の文の主語はYouで動詞はtryです。

tryが現在形であることに着目しましょう。

この文を理解するには、現在形について復習することが必要です。

遠回りに思えるかもしれませんが、ここが大切です。

現在形というのは、よく「現在のこと」を表すと思いがちですが、実は違います。

正確には、「過去も未来も現在も変わらない不変の事実」を表します。

いぬ
いぬ

どういうこと?

例文を見てみましょう。

It always rains here in June.
ここは6月に必ず雨が降ります。

He works for an insurance company.
彼は保険会社で働いています。

I play tennis every Tueseday.
毎週火曜日はテニスをしています。

「今現在」外で雨が降っていたり、仕事中だったり、テニスをプレー中だったりするわけではありませんが、「今までもこれからも変わらないような安定した事実」を述べるのが現在形なのです。

いぬ
いぬ

現在進行形で起こっていることとか、変わりやすい一時的な行動や状態には、ーingを使うよ

話はそれましたが、現在形は他にも使い方があります。

以下にまとめました。

現在形を使うとき
  • 不変の事実や習慣、普遍的なことを表す
    This train goes to Tokyo.(この電車は東京行きだ)
  • (決まっている)未来について表す
    I start my job tomorrow.(明日から仕事が始まる)
  • 出来事が続いて起こるとき(手順、実況中継、物語など)
    ・I go to the classroom, and I see this girl, and she says to me…
    教室に行ったら、その女の子がいて、その子が私に言うには…
    ・Andy passes to Brian, Brian shoots!
    アンディがブライアンにパス、ブライアンがシュート!

さて、「スリラー」では「決まっている未来」及び「続いて起こる出来事」のコンビネーションの現在形がたくさん用いられていると捉えられます。

さて、問題の歌詞に戻りましょう。

You try to scream
But terror takes the sound before you make it

●scream=叫ぶ、大きな声を出す
●terror=恐怖

try to screamで、「叫ぼうとする」ですので「あなたは叫ぼうとする」となります。

次の文がBut=しかしで、「叫ぼうとする」の反対や期待外れのことが起こります。

次の文は、personification(擬人化)という手法が使われており、少し意味が取りずらいかもしれません。

terror=恐怖という「感情」ですが、それがthe sound(その音)をtake=「取る(奪う)」と言っています。

恐怖という感情は、手が伸びて来てなにかを奪うことはできませんが、擬人化しておもしろく、臨場感をもって状況を伝えています。

the sound は、theがついていますので、前に出てきたなにかの音を表します。ここでは、「叫び声」だと文脈から判断できます。

「before=前に」ですが、何の前かと言うと、「you make it」です。

you makeで、「あなたがitを作る」となりますが、 itはまた「前に出てきたもの」をさして「それ」と言う意味ですので、直近のthe soundととらえるのが自然です。

つまり、

scream=the sound=it

となります。

全体を訳すと、

You try to scream
君は叫ぼうとする

But terror takes the sound before you make it
しかし、君が声を出す前から恐怖が叫び声を奪う
(=恐怖で声が出ない)

てな感じになるでしょうか。

ここで再度、なぜ動詞が現在形なのかという話に戻ってみましょう。

現在形は、「確実な未来」や「連続している出来事を物語のナレーションのように語る」用法がありました。

そう考えると、「スリラー」の歌い手がYouに向けて「こんなことが起こるよ、そしたらこうなるよ、それでこうだよ」と怖がらせている感じがわかるかと思います。

「まだ起こっていないけれどこれから起こること」を、「物語みたいに語って」相手を怖がらせようとしているのです。

これからもたくさん現在形で出来事が進行していきますので、現在形の呼吸を感じながら見ていきましょう!

You start to freeze

ここは、分かりやすいですかね。

freezeは、「凍る」という意味ですが、日本語の「背筋が凍り付く」と同じ感じで「立ちすくむ」「体が凍る」「ぞっとする」という意味も表すことができます。

You start to freeze
君は身体が凍り始める

As horror looks you right between the eyes

先頭のAsは、文章と文章のつながりや同時性を表します。

この文の内容が、前か後ろのどちらかの文章と関連がある、とゆるくとらえていればOKです。

いぬ
いぬ

asは本当にいろんな意味に化けるから、それこそ正解はなくて、その都度ゆるく解釈しながら文脈にあう日本語を考えるよ

ここでは、前の文でも後ろの文でも意味的にはおかしくないのでどちらでとらえてもいいと思いますが、私的には後ろの文とつながっていると捉えた方が自然かな、という気がします。

で、この文の意味を見ていきましょう。

先ほどでてきたPersonalification(擬人化)がここでも使われています。

前は、「terror(恐怖)が音を奪う」でした。

今回は「horror(恐怖)が君を見る」です。

right between the eyesは、直訳すると「目と目のちょうど真ん中」となります。つまり、顔面パンチ!で狙うときの、顔の正面を表します。

Merriam Websterの辞書には、「right between the eyes」の項目があり、「In the face」となっています。

look you right between the eyesは、「顔の正面から見つめる」というようなイメージになります。

これらを踏まえて全体を訳すとこのようになります。

As horror looks you right between the eyes
恐怖に正面からじっと見つめられて

You’re paralyzed

paralyzeは「人や体の部位を、全体的にもしくは部分的に動けなくする」という意味で、「麻痺させる」「しびれさせる」「不随にする」といった日本語が当てはまります。

paralyzeは他動詞なので、「(誰かが)動けなくなる」と言いたいときには受動態にします。

つまり、恐怖で身体が固まってしまう、と言っているんですね。

You're paralyzed
君は身体が固まってしまう

「スリラー」のAメロ歌詞和訳まとめ

It's close to midnight
もうすぐ深夜だ

And something evil's lurking in the dark
何か不吉なものが 暗闇に潜んでいるよ

Under the moonlight
月明りの下で

You see a sight that almost stops your heart
君は心臓が止まりかけるような光景を目にするんだ

You try to scream
君は叫ぼうとする

But terror takes the sound before you make it
しかし 恐怖が君の声を奪う

You start to freeze
君は身体が凍り始める

As horror looks you right between the eyes
恐怖に正面からじっと見つめられて

You're paralyzed
君は身体が固まってしまう

暗闇から月明りへ移る視覚的楽しさがあったり、恐怖を擬人化することで、恐怖に身体が乗っ取られる感覚をよりリアルに感じさせる工夫があったりと、最初から面白い歌詞の世界でした。

マイケルは曲について、物語のように、始まりと中盤と終わりがあるべきだ、と言っていて、さらに情景が浮かんでくるようでないとならない、と語っています。

「スリラー」はまさに、イントロのドアの音や足音、徐々に音程が上がっていくオーケストラなどで私たちを物語の世界に引き込んでくれますね。

次はついにサビの解説です!

お楽しみに!

コメント

タイトルとURLをコピーしました